Q. 1 戒について教えて下さい
Q. 2 戒名はいつ頂くものですか
Q. 3 逆修とは何ですか
Q. 4 戒名について教えて下さい
Q. 5 戒名にはランク付けがありますか
Q. 6 浄土真宗における法名とは、戒名と違うものですか
Q. 7 居士について教えて下さい
Q. 8 大姉について教えて下さい
Q. 9 院殿号について教えて下さい
Q.10 院号について教えて下さい
Q.11 庵号について教えて下さい
Q.12 軒号について教えて下さい
Q.13 斎号について教えて下さい
Q.14 位号について教えて下さい
Q.15 道号について教えて下さい
Q.16 信士・信女について教えて下さい
Q.17 禅定門について教えて下さい
Q.18 子供の戒名について教えて下さい
Q.19 新帰元・新帰去とはどのような意味ですか
Q.20 戒名の下につけられる霊位はどのような意味がありますか
Q.21 浄土真宗の法名の頭につけられる「釈」の意味について教えて下さい
A.1 戒について教えて下さい
戒とは「修行を行おうとする自発的な精神」のことであり、戒を実行することではじめて悟りが得られる。 戒名を授かるにあたっては、一般的に三帰戒が授けられる。これは出家、在家にかかわらず仏教徒である以上受持しなければならないもので、「仏・法(仏の教え)・僧(仏の教えを奉じる集団)」に信順することをいう。仏教徒の集まりで「ブッダン(仏)サラナンガチャーミィ、ダンマン(法)サラナンガチヤーミイ、サンガン(僧)サラナンガチャーミィ」とよく唱和されるが、これは仏に帰依しますという意味で、三帰戒の内容そのものである。 不殺生戒(ふせっしょうかい)、生き物を殺すな 不偸盗戒(ふちゅうとうかい)、盗むなかれ 不邪淫戒(ふじゃいんかい)、セックスをつつしめ 不妄語戒(ふもうごかい),嘘をつくな 不飲酒戒(ふおんじゅかい),酒は飲むな 以上がその内容であるが宗派により多少の違いがある。 三聚浄戒(さんじゅじようかい)も戒名を受ける時に授けられる場合もあるが、その内容は次の通り。 第一摂律儀戒(悪いことは一切しない)、 第二摂善法戒(良いことは一切やる)、 第三摂衆生戒(世のためにつくす) 以上が戒名を受けるにあたって授けられる戒の内容である。
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Q.2 戒名はいつ頂くものですか
仏道に帰依した者につけられる名前であるというのが、戒名の本来の意義である以上、生前に授戒式に臨み戒名を授かるのが望ましい。生前に受ける戒名は「逆修」と呼ばれるが、ここでいう「逆修」とはあらかじめという意味であり、死ぬ前にあらかじめ戒を受け仏弟子になることをさす。
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Q.3 逆修とは何ですか
生きているものがあらかじめ戒を受け、戒名を授けられること。
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Q.4 戒名について教えて下さい
仏の教えに帰依し、定められた戒(行動の規則・精神を律っする規則)を守ると誓った者に対して与えられる名前のこと。
すなわち仏教徒となった者が授戒作法を受けて授けられた名のことを戒名といい、仏教徒になる以前の俗世での名前を俗名という。
戒名(法号)は本来二文字であるが、この戒名の上に道号が、さらに院号・院殿号がつけられ、戒名の下には位号がつけられ、その一連の文字構成を称して戒名と呼ぶことが多い。
また、この一連の文字構成は法名・法号とも呼ばれる。すなわち戒名という場合は戒名(二文字)を指す場合と、一連の文字構成である総称を指す場合の二通りがある。
日蓮宗では「法華経(ほけきょう)」の信者は当然、日蓮のいう霊山(りょうぜん)浄土に救われるとされ、ここで改めて受戒作法は行わないので、戒名ではなく「法号」という。
また、浄土真宗では、阿弥陀仏への帰依を前提として、無戒をモットーとするために受戒作法はなく、戒名ではなく「法名」という。
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Q.5 戒名にはランク付けがありますか
仏教は本来、平等を説く教えであるから、戒名にランク付けがあってはならないが、実際にはランク付けがある。
このランク付けは院殿号・院号や信士(信女)・居士(大姉)・大居士(清大姉)などの位号によって定められている。 こうしたランク付けは江戸時代の幕府の宗教政策によって決められたものであり、例えば百姓には院号・居士・大姉を付けることが禁じられていた。そして、この伝統は今に引き継がれ、信士・居士・清居士・大居士、信女・大姉・清大姉というランク付け、さらに院号・院殿号が付けばさらにランクが上がるという構図がある。
こうした構図については批判もあるが、寺院によっては金銭以外のところで、このランクの線引きを厳格に行っているところもある。それはその寺院に対しての外護者としての功績によるものだが、寺院に対して金銭的なものを含めて大きな功績があった人に、例えば院号が与えられることはむしろ当然のことであろう。法隆寺も延暦寺も、そして様々な寺院は寄進なくしては存在せず、多大な寄進を行った者に対しては伝統的に様々な供養が行われてきた。
戒名にまつわる金銭的なトラブルはよく耳にするが、本来、寺院の大きな外護者に与えられる院号や居士号をいただくのであれば、一つの目安として年収の十分の一程度の寄進をして当然のことであろう。ただ問題は、それを受ける寺院側のレベルのことである。その僧侶が自信を持って寄進する人や、その一族の安泰繁栄を祈り、仏門に入れることの喜びを説得できるのであれば、年収の十分の一など、むしろ安いものであろう。 ただし、浄土での差別は戒名によっては受けない。仏の前には皆平等ある。
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Q.6 浄土真宗における法名とは、戒名と違うものですか
浄土真宗には戒が存在していない。したがって、戒を受けることで授けられる戒名はなく、得度式を経て僧侶となったもの、あるいは帰敬(ききょうしき=新たに帰依したことを証明する剃髪の儀式)を受けた在俗の者に対しては法名が与えられる。 親鸞上人は、未法の世の中、すなわち仏の教えは残っていても、それに従って修行する能力が衰え、自らの力では悟りを開くことができない時代においては、戒は存在せず、無戒であるとした。そして無戒であるからこそ絶対他力により阿弥陀如来による救いがあるとした。
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Q.7 居士(こじ)について教えて下さい
サンスクリット語のグリハパティにあたるもので、元来は家に居る男子のことをいう。インドでは商工業を主とする富豪め・資産家のこと。中国では学識・人徳に優れた官に仕えない人のことを示した。楞厳経(りょうごんきょう)には「名言を談じて清浄にして自ら居ることを愛する者を居士と称す」とあり、維摩経(ゆいまぎょう)に出る釈尊の弟子である維摩居士が有名である。男性の居士称に対して女性は大姉と称せられる。
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Q.8 大姉(たいし)とはなんですか
男性の居士と同格の尊称。七賢女経には「賢女をもって聖姉という」とある。夫が居士の名を頂いた場合は女性はその戒名を大姉とするのが通常である。
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Q.9 院殿号(いんでんごう)について教えて下さい
院殿号は足利尊氏が「等持院殿」と称したところから始まるとされる。本来は院号に次ぐ称号であったが、現在では字数が多くより豪華な印象を与えるために院号より上位にされることが多い。院号と同じく、本来は安易に贈られるべきものでなく、仏教の外護者としての相当な寄進、あるいは尽力をした人、さらに高徳の人に対して与えられるべき尊称であろう。
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Q.10 院号(いんごう)について教えて下さい
院号とは天皇が退位隠居された御所を〇〇院と称したことからはじまっている。京都には門跡(もんぜき)寺院、すなわち天皇あるいは皇族が住持された寺院として妙法院(三十三間堂)、三千院、曼殊院、青蓮院などがあり、これから考えれば一寺を建立するほどの仏教の外護者に対して院号は授けられるべきものであり、かつては一国の大名や家老以上でなくては与えられなかった。
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Q.11 庵号について教えて下さい
庵とはいおりのことで「草や木を結んで造った粗末な家のこと」をいう。
戒名における庵号は、院号に次ぐ尊号として付けられることが多い。
仏教学者として有名な鈴木大拙師の戒名は「也風流庵大拙居士」
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Q.12 軒号について教えて下さい
軒とは建物の意。その人のすんでいた場所を表す言葉で、戒名としては院号につぐ称号とされる。
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A.13 斎号について教えて下さい
斎とは居室のこと。その人の住んでいた場所をあらわす言葉で、戒名では院号につぐ称号とされる。
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Q.14 位号(いごう)について教えて下さい
戒名の下につけられる号であり、大別すると成人に対して与えられるものと、未成年に対して与えられるものとがあり、その内容は次の通り。
(1)成人に与えられるもの居士(大姉) 大居士(清大姉・大大姉) 禅定門(禅定尼) 信士(信女)
(2)未成年に与えられるもの 童子(童女) 孩子(がいし) 嬰子(えいじ) 水子
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Q.15 道号(どうごう)について教えて下さい
道号については様々な説明がなされる。禅宗では高徳の僧を呼ぶとき、その実名を避けて諱号(替え名)すなわち道号で尊称した。例えば、一休宗純禅師の場合、一休が道号で宗純が実名である。この場合の道号には住まい、例えば山号・寺号や地名が使われることが多く、やはり禅宗の高僧である百丈懐海の場合、百丈とは百丈山のことで懐海が住し修行を行った地のことである。
こうした説とは別に、剃髪して入寺する時に受けるのが道号で、後に師の許しを得て授戒の時に授与されるのが道号であるとする説、さらに仏道以外の芸道・和歌・華道・茶道を修め、その師から許された名前であるという説もある。
現在の戒名の中で組み込まれる道号は、一種の格付け、それが付け加えられた方が格式が上であるという格付、の意味が強いが、それが付けられる場合は戒名二字との調和によってつけられるべきものである。
さらにこの道号には、主に生前のその人の性格・趣味・特技・業績等を讃える意味の文字を組み入れたり、季節観を入れたりすることもある。また、雅号・俳号・地名・家名なども組み入れられることがある。
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A.16 信士(しんじ)・信女(しんにょ)について教えて下さい
信士とはサンクリット語ウパースカ(優婆塞・うばそく)の漢訳語で、仏法僧の三宝に帰依し、戒律を守りながら教団を経済的に支え、出家者より教えを受ける在家男性信者のことをいう。
信女とはサンクリット語ウパーシカー(優姿夷・うばい)の漢訳語で在家女性信者のこと。
信士は清信士、信女は清信女ともいう。
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A.17 禅定門(ぜんじょうもん)・禅定尼(ぜんじょうに)について教えて下さい
仏門に入ったとの意味があり、禅定とは心静かに瞑想して、真理を見極めること、あるいは悟りの状況そのもの指す。戒名で禅定門がつけられるのは禅宗だけではなく、女性に対しては禅定尼がつけられる。また、禅門・禅尼、大禅定門、大禅定尼という呼称もある。 戒名のランクの中ではその位置付けは難しく、居士・大姉の下、さらに信士・信女の下にされることもある。特に禅宗系寺院以外ではこの傾向が強いようだが、禅宗系寺院でも禅定門・禅定尼が再下位になることもある。 しかし、大禅定門・大禅定尼となると院殿号と併用されることが多い。 融通念仏完においては禅定門、禅定尼の位号がけられるのみで、戒名におけるランクは全くない。
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A.18 子供の戒名について教えて下さい
子供の戒名の区分は次の通り。
水子 流産・死産・早産した子に
嬰児(えいじ)・嬰女(えいじょ) およそ二歳くらいまで
孩児(がいじ)・孩女(がいじょ) 二歳から六歳くらいまでの乳幼児
童子(どうじ)・童女(どうじょ) 七歳から十五歳くらいまでの子供
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A.19 新帰元・新帰去とはどのような意味ですか
新帰元・新帰去などの文字は白木位牌や卒塔婆にかかれるもので、骨上げや初七日が終わると新の字は削られる。
新帰元・新帰去ともに「新たに浄土に赴いた者」「新しき死者」という意味で、上文字、あるいは上頭文字と呼ばれ、新帰元・新帰去の他にも様々な呼称があり、
その例は次の通り。帰真・物故・還本・順法・帰空・帰源・帰故・帰西・逝去・還本・遷化・減度・過去・
捐館(身分の高い男子)・捐閏(身分の高い婦人)・先考(身分が高い者の父)・先妣(身分の高き者の母)・順寂/順去(尼僧)・達故 (山伏)。
子供の場合は「新早世」と書かれたりする。童子・童女の上に禅の文字をつけ、禅童子・神童女とする場合もある。
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A.20 戒名の下につけられる霊位はどのような意味がありますか
戒名の下につけられる文字は下文字とも呼ばれ、霊位はその一般的なものである。
霊位以外には、尊儀(皇族など)・台霊(将軍家)・神儀(位の高い人・皇族)・叔霊/叔儀(身分が高い女性)・幽霊(尼僧)・霊(荼毘に付す前は霊の一文字で、荼毘の後、三十五歳以上の者に 〃位〃 を加える)。
★ 野位牌<白木のお位牌>には、「位・霊位」と書かれますが、本位牌には、「位」のみを付ける事が多いです。関西では、「位」を付けず戒名のみも事も多いです。
四十九日までは、亡くなられた方は、仏にならず霊として彷徨い、四十九日が来て仏になり、お仏壇に納めます。
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A.21 浄土真宗の法名の頭につけられる「釈」の意味について教えて下さい
釈とは釈尊の略称で、法名の上に釈を冠することで仏弟子となったことをあらわす。
信士・居士などの位号を用いないのは、浄土真宗においては出家せず戒を受けず在俗のままに帰依するため。
(信士・居士ともに戒を受けた往俗の信者)