「覚位」は住職(僧)と沙弥の中間に位置する
住職の位牌には「○○上人覚位」との位号を付すが、「覚位」は住職(僧)と沙弥の中間に位置する「法師」に付ける位号で、慶長三年(一六八六)の天台宗「福田殖種纂要」の位牌の書き方によると、法華宗の項に、
「某上人大徳位(是ハ能化ニ書ク也)
某徳乗覚位(是ハ中人・法師ニ書ク也)
某経門蓮位(是ハ在家ノ者ニ書ク也)
某妙尼叔霊(是ハ在家ノ女ニ書ク也)」
とあるように、僧(住職)の位号には「大徳位」と記していた。
住職の葬儀出座に使用する中啓は朱骨の中啓で良く、白骨または黒骨の中啓は大正頃から使用されたと思われる。僧侶の葬儀行列は「高野山寺葬儀式手鏡」によると、
外居―酒水持―供花―印信―幡―灯篭―樒―棺前―棺―棺侍(両脇に)―天蓋ぼう位牌―導師―喪主―遺弟―法類―衆僧―親族―各種団体―一般会葬者の順である。
日蓮聖人の葬送行列は、
先火―大宝華―幡―香―鐘―散華―御経―文机―仏(立像釈尊)―御履物―前陣九僧―御棺(御輿)―後陣九僧―天蓋―御太刀―御腹巻(鎧)―御馬―一般信徒の順である。
白蓮日興上人は、
先火―外居―大宝華―幡―燈―香―鐘―供花(十四人)―文机―花瓶―御経―御本尊―御影―旅籠馬―引馬(二頭)―御乗馬―前陣十三僧―御輿(六人)―後陣(十二僧)―天蓋―太刀―刀―手鉾―弓箭―笠―袋―草履―足駄―後陣火―信徒の順である。
外居とは「山門不幸」、「○○上人遷化」などを記した掲示板である。
(石川通信員)