「本不生」とか「不生位」と下についているのはどんな戒名ですか?

「本不生」とか「不生位」と下についているのはどんな戒名ですか?

真言宗の僧侶の位牌において、位号のところに書くのが、「本不生」とか「不生位」
という言葉です。一言でいえば、さとりの世界を象徴して位号です。
真言密教の根本理念に「阿字本不生」という概念があり、「阿字より出て阿字に還る
」といわれます。およそ世の中のあらゆる生きとし生けるもの、あるいはさまざまな
ものごとというものは、すべて縁が集まって生まれきたったものです。縁によって生
じたものであるから、もとよりはじめがあり、本源の大元であるわけです。しかし存
在の根本のあり方についていえば、本来無自性、執らわれのない、実態のないもので
あります。つまり不生、本不生といわれる姿で、それがさとりの境地というものでし
ょう。阿字とは、いのちの根源、ものごとの頂点であり、その無量無辺にしてはかり
知れないありようは、まさに真空妙有です。
いのちがよってきたるべき根源の阿字が不生にして不滅であることは、死もまた不生
にして不滅ということです。死ぬということは、とりもなおさず永遠なるさとりの世
界に入ることであり、静かにしてやすらかな境涯に帰ることであります。

関連記事

TOP