施主名と建立年月日
施主名と建立年月日 施主名と墓石を建てた人は必ずしも一致しない。 施主が建主であると思うのが一般だが、施主名はその家の相続人の名前であり、墓塔を供養し、布施をする主人ということである。 金を出したものが施主ではない。したがって、墓石にそういう人の名を列記するものではない。
建立年月日も、施主名と同様に、墓石を建てた日付だと思っている人が多いが、正式には、維時平成〇〇年〇月建之と印すのがほんとうである。 どういうことかというと、葬儀を無事にすませ、円満に永遠の過去にするということは、たいへんな事業でもある。この間の苦労は、相続はもとより追善供養、納骨とじつに頭を悩ますことばかりだ。 それが無事に終わり、その家のけがれが退散してこそ、墓石もめでたく建つものであろう。 このように因縁に満ちて、海水が引き潮から満潮へ向かうように、自然に墓とならなければならないわけで、ここから、建年号の”維時” という意味があるのである。 いいかえると、相続人がほんとうに相続したという確定日付が、建立年月日ということになる。それは、遺族が円満に遺産相続その他が終わったという証拠である。 だから、墓石の建立は早い方がいいわけだ。